今年は梅雨明けが遅くなり、ようやく暑さが増してきたという感じもしますが、今年の立秋は昨日、8月7日でした。
もう秋の始まりとなったということですね。
ということで、秋の養生法を頭に入れておいたほうが良い時期になってきましたので、年英堂治療院おすすめの秋の養生法をご紹介いたします。
東洋医学における秋の養生法
熟して、実り、安定する季節
秋は空気が乾燥することが多くなり気温が下がります。
天の気は上昇し、まるで金属のように清く澄んで収斂するため、空は高く空気は清々しく、風の音は力強くなります。また地の気は下に向かい、湖は清く澄み、枯れ葉が舞い落ちて実を結ぶ、とても美しい季節です。
黄帝内経素問には、秋の三ヶ月は「容平(ようへい)」の季節と言われています。容は形、天地万物の形をいいます。夏の成長がとまり調整するという意味があります。自然界のすべてのものは熟して実り、すべてのことが安定してきます。
人間も天地にみなぎる陽気を体内に深く取り込むときです。
「早寝早起」
春と夏は少しくらい夜更かししてもいいのですが、秋は早く寝た方が良いです。また、朝は鶏の鳴き声と共に早く起きるべきということです。
陰の気が強くなり陽の気が衰えるので、早く寝るというのは気を養うことでもあるのです。
では実際にどのくらいに寝起きするのがいいのかというと、鶏の生活を目安にしてみてください。
鶏は、日が暮れると休み、朝日が昇ると活動します。朝は5時から6時。この時間に人の気は開き始めるので、起きるのにちょうどいい時間かもしれません。
段々と昼は短く夜は長くなっていきますので、睡眠時間を多くとって夏よりも活動時間を減らしていくといいでしょう。
五行では「肺」の季節
中医学の五行説では秋は「肺」の気が影響を受けやすいと考えます。
春は気が生まれ、夏は成長し、秋は収斂します。
この自然の規則に背いた生活をすると、肺の気を傷つけてしまうのです。秋に肺をうまく養えなければ、冬にお腹をくだしたり病気にかかりやすかったりすると言われています。冬に起きる病気の下地は秋にできるということです。
また陽気が下がり始めるため、病気への抵抗力も少し下がります。
昼夜の温度差も大きく、昼は太陽が燦々と降り注いでいても朝晩は冷え込むため、風邪をひきやすくなります。特に今年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあるので注意が必要です。
食べ物などに気をつけて肺を乾燥させないようにするといいでしょう。
ただし夏の湿気も残っているため、もしも乾燥している時に湿気に傷つけられてしまうと、湿った熱に変化してしまうこともあります。冬に陽気を蓄えようとする時に、その湿熱は肺を阻んで咳を引き起こすことがあります。
心静かに過ごす
秋は感情も「収斂」を心がけます。
この季節は殺気だつ傾向にあるので、感情を高ぶらせず少しずつ気持ちを安定させ、自分の気を体の中に収めるようなイメージで過ごすようにしましょう。
殺気立つと言いましたが、古代中国では秋に刑の執行をすることが多かったそうです。なぜなら秋は物寂しくすべてのものが枯れ落ちゆくという自然の摂理が、人の生命を枯らすということに結びついているためと言われています。
これが自然と人はひとつであるという中医学の観念なのです。
陰陽でいうと、春と夏は陽、秋と冬は陰に属します。
冬が近づいて陰の気が降りてくると気分も落ち着き、次第にのんびりとして安定してきます。特に肺の病がある人は、物静かな気持ちでいることが、症状を良くしてくれるでしょう。
穏やかな気持ちでいることで、心と体の中の陽気の歩調が合い、気を体の中に収めることができます。
心は体と一体です。このような心の在り方が寒暖差の激しい秋を乗り切るコツなのです。
秋におすすめの味
中医学では、秋は「燥邪」いって空気が乾燥する季節。
乾いた空気を吸い込むと肺を傷め、咳や痰が出やすくなります。
そんな時には痰を取り除いて肺を潤してくれる辛味(からみ)の食材がおすすめと言われています。
また、ネギやナッツ類などもいいでしょう。もちろん取り過ぎには注意です。
天高く馬肥ゆる秋と言われるように、美味なものが沢山出回ります。しっかり味わって自然に逆らわない生活をしていきましょう!